「ギガファイル便で重要なファイルを送っても大丈夫?」
「社員が業務でギガファイル便を使っているけど、安全性に問題はない?」
「無料のファイル転送サービスは情報漏えいが心配」
このような疑問を持っている企業の情報システム担当者や総務担当者も多いのではないでしょうか。
ギガファイル便は、会員登録なしで大容量ファイルを送受信できる無料のファイル転送サービスです。商業利用も可能と公式FAQで案内されています。
一方で、企業が業務で利用する場合には、単純に「安全」「危険」の二択で判断することはできません。
この記事では、ギガファイル便の公式情報を確認したうえで、サービス自体のセキュリティ対策と、企業が利用する際に注意すべき情報セキュリティ上のリスクを分けて解説します。
結論:ギガファイル便は危険なサービスとは言えないが、企業利用では運用ルールが重要
結論から言えば、ギガファイル便はセキュリティ対策を備えており、サービスそのものを「危険」と判断することは適切ではありません。
公式FAQでは、サーバーがすべて日本国内にあること、アンチウイルス機能を装備していること、ダウンロードパスワードを設定できることなどが案内されています。
一方で、企業利用では別の問題があります。
ギガファイル便では、アップロード後に生成されるダウンロードURLを相手に伝えてファイルを受け渡します。公式FAQでも、URLを知っているユーザーがファイルをダウンロードできる仕組みであり、URLが第三者に渡らないよう注意する必要があると説明されています。
つまり重要なのは、
「ギガファイル便というサービスが安全か」
だけではありません。
企業では、
「自社の重要な情報を、ギガファイル便という方法で送って問題ないか」
まで考える必要があります。
ギガファイル便にはどのようなセキュリティ対策がある?
まず、ギガファイル便の公式情報から確認してみましょう。
| セキュリティ関連項目 | ギガファイル便の対応 |
|---|---|
| アンチウイルス機能 | あり |
| ダウンロードパスワード | 設定可能 |
| ファイル保持期限 | 設定可能 |
| サーバー | 日本国内 |
| 会員登録 | 不要 |
| ダウンロードURL | 発行されるURLを相手に共有 |
| 商業利用 | 可能 |
| ファイルの自動削除 | 保持期限経過後に削除 |
ギガファイル便の公式FAQによれば、サーバーはすべて日本国内にあり、アンチウイルス機能も装備されています。また、ファイルには任意でダウンロードパスワードを設定できます。
したがって、
「無料サービスだからセキュリティ対策がない」
というわけではありません。
ただし、これらの機能があることと、企業の情報管理において十分なサービスであることは同じではありません。
ギガファイル便の5つのセキュリティ上の注意点
1.ダウンロードURLが第三者に渡るとファイルを取得される可能性がある
ギガファイル便では、ファイルをアップロードするとダウンロード用のURLが生成されます。
公式FAQでは、生成されたダウンロードURLを知っているユーザーがファイルをダウンロードできると説明されています。URLを第三者に知られていなければ原則として第三者が閲覧することはない一方、URLが転送されてしまう可能性について注意喚起されています。
たとえば、企業では次のような事故が考えられます。
- メールの宛先を間違える
- URLを別の相手に誤送信する
- チャットにURLを誤って投稿する
- メールを転送した際にURLも転送される
- URLを社内の共有フォルダなどに誤って保存する
これは、ギガファイル便のシステムそのものが攻撃されたという話ではありません。
正規の利用者がアクセス情報を誤って第三者に渡してしまうことによる情報漏えいです。
企業では、このような「利用者側のミス」も含めて安全性を考える必要があります。
2.ダウンロードパスワードの設定は任意
ギガファイル便では、ダウンロードパスワードを設定できます。
ただし、パスワード設定は必須ではありません。
公式FAQでも、パスワードを設定しなくてもファイルをアップロードできると説明されています。
そのため、社員が何も考えずに利用すると、
ファイルをアップロード
↓
ダウンロードURLだけを相手に送信
という運用になってしまう可能性があります。
企業で利用する場合には、重要なファイルについてパスワード設定を必須にするなど、社内ルールを設けることを検討するとよいでしょう。
なお、公式FAQではダウンロードパスワードとして4桁の半角英数字を設定できると案内されています。推測されにくいパスワードを使用するよう注意喚起されています。
3.「パスワードを設定したから安全」とは限らない
ここも重要です。
ダウンロードパスワードを設定すれば、URLだけを知っている第三者が簡単にファイルを取得するリスクを下げられます。
しかし、
URLとパスワードの両方が第三者に渡れば、ファイルを取得される可能性があります。
そのため企業では、
- URLの送信先を確認する
- パスワードを適切に管理する
- URLとパスワードを同じ場所に不用意に記載しない
- 機密性の高い情報については別のファイル共有方法を検討する
といった運用が重要になります。
4.企業が扱う情報の種類によっては、別のサービスが適している場合がある
ギガファイル便は非常に便利ですが、企業が扱う情報にはさまざまな種類があります。
例えば、
- 公開済み資料
- 一般的な業務資料
- 顧客情報
- 個人情報
- 契約書
- 人事情報
- 営業秘密
- 未公開の財務情報
- 重要なシステム情報
では、求められるセキュリティレベルが同じではありません。
そのため、
「会社ではギガファイル便を使ってよい」
あるいは
「会社ではギガファイル便を禁止する」
と一律に決めるよりも、
情報の機密性に応じて利用できるサービスを決める
という考え方が重要です。
5.シャドーITにつながる可能性がある
企業の情報セキュリティ担当者が特に注意したいのが、シャドーITです。
シャドーITとは、会社が正式に管理・許可していないITサービスを、従業員が業務で利用することです。
例えば、
「メールでは大容量ファイルを送れない」
↓
「ギガファイル便なら送れる」
↓
「便利だから使おう」
という流れで、会社が把握していないサービスが業務に定着する可能性があります。
この場合、問題はギガファイル便そのものだけではありません。
会社が「誰が、どのサービスを、どのような目的で使っているのか」を把握できなくなること自体がリスクになります。
ギガファイル便は会社で使ってもいい?
では、実際に企業でギガファイル便を利用することは問題なのでしょうか。
「企業利用は禁止されている」と判断する必要はありません。
ギガファイル便の公式FAQでは、商業的な利用についてもファイル転送機能を無料で利用できると案内されています。
ただし、
「商業利用できる」ことと「自社のセキュリティポリシーを満たす」ことは別問題です。
企業が利用する場合は、次のような点を確認する必要があります。
- どのような情報を送るのか
- その情報を外部サービスにアップロードしてよいのか
- URLをどのように管理するのか
- パスワードをどのように管理するのか
- ファイルの保持期間をどうするのか
- 誰が利用できるのか
- 会社として利用を許可しているのか
つまり、
ギガファイル便だから危険
でも、
ギガファイル便だから安全
でもありません。
自社が扱う情報と求められる管理レベルに照らして判断することが重要です。
クラウドサービスのセキュリティを確認したい企業の方へ
ギガファイル便に限らず、企業ではさまざまなクラウドサービスを業務で利用します。
しかし、
- セキュリティ対策は十分なのか
- ISO27001・ISO27017などの認証を取得しているのか
- ISMAPに登録されているのか
- 保存されるデータはどこにあるのか
- 多要素認証に対応しているのか
- 自社のセキュリティ基準を満たしているのか
などを、サービスごとに調査するのは簡単ではありません。
「このクラウドサービスを社内で利用して問題ないか確認したい」という場合は、専門的な観点からセキュリティ情報を調査し、導入判断に必要な情報を整理することもできます。

ギガファイル便を利用するなら決めておきたい5つのルール
企業がギガファイル便の利用を認める場合は、最低限の利用ルールを定めておくとよいでしょう。
ルール1:送信してよい情報を決める
「大容量なら何でもギガファイル便」というルールにするのではなく、情報の重要度に応じて利用可否を決めます。
例えば、
利用可
- 公開済み資料
- 機密性の低いデータ
利用には管理者の確認が必要
- 社外秘資料
- 取引先から受け取った資料
原則として利用しない
- 重要な個人情報
- 高度な機密情報
- 認証情報
- 営業秘密
など、自社の情報分類に合わせてルールを作ります。
ルール2:重要なファイルにはパスワードを設定する
ダウンロードパスワードは任意ですが、重要なファイルについては設定を必須とする方法があります。
公式FAQでもパスワード設定が可能で、推測されにくいパスワードを使用するよう案内されています。
ルール3:URLの送信先を必ず確認する
ギガファイル便では、ダウンロードURLがファイルへのアクセス手段になります。
そのため、
「送信ボタンを押す前に宛先を確認する」
という基本的なルールを徹底することが重要です。
特に、顧客や取引先に送信する場合は、メールアドレスの入力ミスにも注意しましょう。
ルール4:必要以上に長期間保存しない
ギガファイル便ではファイルの保持期間を設定でき、保持期限を過ぎるとファイルは自動的に削除されます。
そのため、
「とりあえず長期間保存する」
のではなく、必要な期間だけ保持する運用を検討しましょう。
ルール5:会社が認めているファイル共有サービスを明確にする
「ギガファイル便は禁止」とだけ伝えると、社員が別の無料サービスを勝手に利用する可能性があります。
そのため、
「この情報を送る場合は、このサービスを利用してください」
という安全な代替手段を用意することが重要です。
ギガファイル便を禁止すれば情報漏えいを防げる?
必ずしもそうではありません。
ギガファイル便を禁止しても、
- 個人のクラウドストレージ
- 別のファイル転送サービス
- 個人メール
- USBメモリ
- 私物PC
など、別の手段でデータを持ち出してしまう可能性があります。
そのため、
「危険だから禁止する」
だけでは、根本的な解決にならない場合があります。
企業に必要なのは、
- 何が機密情報なのかを明確にする
- 情報の種類に応じた安全な共有方法を決める
- 社員に利用ルールを周知する
- ルール違反が起きないよう教育する
という仕組みです。
ギガファイル便の安全性を確認するチェックリスト
企業で利用を検討している場合は、次の項目を確認してみてください。
- ギガファイル便で送信してよい情報を決めている
- 機密情報を送信する場合のルールがある
- 必要に応じてダウンロードパスワードを設定している
- URLの送信先を確認している
- パスワードを適切に管理している
- ファイルの保持期間を必要最小限にしている
- 社員が無断でファイル転送サービスを利用しないルールがある
- 機密情報を送るための正式なサービスを用意している
- 社員に情報セキュリティ教育を実施している
まとめ:ギガファイル便は「安全・危険」の二択ではなく、利用方法まで考えることが重要
ギガファイル便には、ダウンロードパスワード、ファイル保持期間、アンチウイルス機能などのセキュリティ関連機能があります。また、公式FAQではサーバーが日本国内にあることも案内されています。
一方で、ファイルを受け渡すためのダウンロードURLが第三者に渡れば、ファイルを取得される可能性があります。公式FAQでも、URLを第三者に渡さないよう注意することが案内されています。
そのため、企業がギガファイル便を利用する場合は、
「ギガファイル便は安全か危険か」
という二択ではなく、
「どの情報を、誰に、どのようなルールで送るのか」
という視点で判断することが重要です。
特に情報システム担当者や総務担当者は、サービスの機能だけでなく、社員による誤送信やシャドーITなどの利用者側のリスクも含めて対策を検討しましょう。
ファイル転送サービスを安全に利用するためには、ツールを導入するだけでなく、社員一人ひとりが情報セキュリティの基本を理解していることも重要です。

